創作活動とメンタル――楽しい創作を目指そうぜって話

創作をやっていく上でのメンタリティ管理は難しい。

現代のSNS社会は「井の中の蛙」を殺している。一昔前ならば「クラスで一番絵が上手」とか、「村で一番の力持ち」とか、そういう小さいスケールの中で評価される人間が存在した。その中でより上を目指す者は「俺より強い奴に会いに行く」と郡市、県、地方、全国、そして世界と規模を拡大していくし、欲のない者は特に心を脅かされることもなく平穏に生きる。そうやって皆、一生を終えていった。旧時代の出来事である。

今は舞台に立った瞬間から「世界一」を見せつけられる。少年野球の大会にアストロズが参加する、サッカーのスポ少でアルゼンチン代表と対戦する、わんぱく相撲で照ノ富士と相対する……他分野で喩えれば「なにいってだこいつ」となるような事象が、SNS、特に創作の世界では当然のように罷り通っている。常に自分の上位互換を網膜に焼きつけられ続け心は妬きつけられ続ける、そんな極めて精神不衛生な状況が、この世界のスタンダードとなっているのだ。常識的に考えて、おかしい。

「上を見ることで成長できる人もいる」という反論が予想できるが、そういう人は勝手に上を見に行く。世の中は自信を砕かれてなにくそと再起する熱い奴らだけでできていない。己が才能のなさ、努力の乏しさを痛感させられ心を病む人間に、素性もよく分からん外野の連中が「その程度の覚悟ならやめちまえ」と吐き捨てるような構図のどこが健全なのか。裾野の広がりを妨げる要因とまで言えよう。SNSは基本的に毒である。毒を食らい毒を超越した者しか、ここでは生き残れない。

とはいえ、それを言っちゃおしめえよという話でもある。「SNS社会では創作し続けるには勝ち続けるしかありません! 血を吐きながらマラソン続けてください!」などというのはあまりに短絡的だ。草葉の陰の尾崎豊もまさか、大人たちからの説教に立ち向かった自分の歌が大人たちの説教に使われるなんて思ってもみなかっただろう。そこで考えるべきことは、どうやったら競争意識に囚われない状態で創作を続けられるか、ということだ。

リアが辿り着いた結論は「創作する過程を楽しむ」「出来上がったモノを愛する」の2つであった。

黄金の風ではないが、結果だけを追い求めていてはいずれ限界が来る。世界一のヒットメーカーであるイチローですら「プロ入りしてから引退まで、野球を楽しいと思ったことは一度もない」というほどに苦しい競争の中で、「絵でプロになる」とか「メジャーデビューする」とかを目標にするのは現実的に考えて厳しい。本当に、上を見ればきりがないのだ。なのでそこを一旦保留にする。過程の末に生じる結果ではなく、過程そのものを楽しもうではないか。絵を描く、線を引く、色を塗る、ピアノロールにノートを打ち込む、どんな楽器を使うか考える。そういう行為自体を子どものように楽しめれば、ひとまず上昇志向や競争意識から自分を隔絶させることができる。完成品の良し悪しは別として、作るという過程に面白さを見出せれば強いだろう。何が強いかは知らん。何か強い。

「出来上がったモノを愛する」というのは、評価基準を相対から絶対へと変化させることでもある。人と比べるまでもなく、自分の絵だから可愛くて好き、自分の曲だからエモくて好き。このマインドに辿り着ければ、もはや俺は……

うおォン まるで自分の作品で自分を満たせる人間火力発電所だ!

永久機関が完成しちまったなァ!(うるさい)

この2つが実用レベルに達すれば、

  1. 過程を楽しんで作る
  2. 出来上がった作品でハッピーになる
  3. ハッピーになったのでまた作り始める
  4. 過程を楽しんで作る……

これでノーベル賞は俺のモンだ!!!!!(うるさい)

冗談ではなく、このサイクルに至ればもう人生ハピハピである。諸星きらりも大喜びだろう。かくしてリアは永久機関創作サイクルを作り出し、現在比較的ハピハピな生活を送れている。懸念事項としては、疲れて作れないときにサイクルが止まって一から動かし直さないといけないことだろうか。この記事を書く前にも一度直面した。相撲でもお馴染みなように、一度止まったモノを動かすのは本当に大変なエネルギーを必要とするのである。しかし休まないと体調を崩すのもその通り。リアもこの記事を書く前に無理をして一日だけ熱を出した。なのでまあ、一応肉体第一で考えていこう。

先日、リアの中学・高校の後輩が命を絶っていたという話を聞いた。リアは歌詞でも「こんな腐った大地から穢れのない大空へ飛び立とう」とか言ってるように自殺否定派ではないし、そういう選択をしたのなら本人の自由、しょうがないと考えている。だが自分がメンタルがやられたとき死を選びたくはないというのもまた事実。健全なる身体に健全なる精神が与えられるように祈って、今日も進んでいこう。

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